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2005年09月26日

9.23「K-1ワールドGP開幕戦」を見た。

ここ数年ではまれに見る個性派ファイターの集結した、「K-1ワールドGP開幕戦」が終了した。
筆者は当日、テレビ観戦した一人。事前予想(青字で掲載)をふまえながら、「感想」なんぞを書き綴ってみたいと思う。

○チェ・ホンマン(3-0 判定)ボブ・サップ×

2メートルを超す長身でありながら、優れた運動神経と格闘センスを持つ、、韓国相撲シムルの元横綱(天下壮士)チェ・ホンマン。
K-1デビュー以来無敗の彼が、1サイクル前に出現したもうひとりのモンスター、“野獣”ボブ・サップと対決するメインイベント。
巨漢同士の、テレビ映えするわかりやすい対決……のように何やらお気楽に捉えられている向きがあるが、この一戦は今後のK-1の歴史を左右するような意味合いを持っている、と筆者は思っている。

どういうことか? ホンマンはまだK-1のトップファイターと当たっていないが、筆者の見るところ、サップの数倍のポテンシャルを持っている。K-1の戦いに慣れれば、ホンヤスキーや武蔵でもかなり苦戦する(負ける)可能性がある。
この状況を、数年前にサップが出現したときの状況と比べてほしい。
出現したばかりのサップは、セオリーを無視したビーストファイトでフォータイムス王者ホーストを苦しめ、結果としてK-1ファイターのポテンシャルをアップさせる起爆剤(悪く言えばあだ花)の役割を果たした。

ご存じのように、サップはその後「心の弱さ」を露呈して、トップファイター(ミルコ、ボンヤスキー、セフォーなど)に簡単に攻略されてしまったわけだが……、1サイクル後のモンスターであるホンマンはどうか? 筆者には、サップと同じテツを踏むようには思えないのだが……。

となると、今大会のメインイベント(ホンマン×サップ)は、ちょっとした世代交代的な一戦という意味合いを持つ。
サップが負ければ、サップのいたポジションにホンマンが入る。そして、次のGP決勝で自動的にトップファイターとの対戦が実現する。もしかしたらホンマン旋風が吹き荒れるかもしれない。

前大会(ハワイ大会)での対曙戦で、両者のあまりの実力の違いを知ることになったが、今回のサップ戦はどうか? サップがあっさりKOされてしまうようだと、筆者の指摘も現実味を帯びてくるはずだが……。


テレビ観戦した感想を言えば……、筆者はややホンマンを買いかぶっていた(過大評価しすぎていた)かなという気もしないでもない。
ひとつは思ったほどにパンチ力はないこと(サップをKOできなかった)、もうひとつはローの攻撃が効きそうなこと(+的が大きいので当たりやすそう)。
その意味では、決して攻略不可能なモンスターなどではない。

とはいえ、25日に行われた決勝の公開抽選の結果、なんと第1試合でディフェンディング・チャンピオンのレミー・ボンヤスキーとの対戦が決定!
数年前のホースト×サップを思わせる組み合わせ。なにやら因縁めいている……。こうした対戦が「くじ」で決まるところが面白い。

ホンマンの戦い方次第では、この試合でサプライズが起きる可能性は十分にある。
思えばホーストもサップの“無茶苦茶な戦い方”に、その精密機械が壊されて、丸太のようなパンチをもらってしまった。
レミーにはレミーの精密機械がある。これを壊す戦い方……。

果たして旋風を引き起こすことになるか?
(すでにホームの韓国では、かなりの旋風が吹き荒れているようだが→大会のサイトを参照)


○ルスラン・カラエフ(3-0 判定)リカルド・ノーストランド×
○ピーター・アーツ(2R0分42秒 KO)マイティ・モー×

大会直前に“引退”を表明したホースとに代わって急きょエントリーされたのがノースランド。しかし、彼よりもアメリカ予選(ラスベガス大会)で鮮烈な印象を残したカラエフに期待が集まる。

ホーストはGP戦線から撤退するだけで、ワンマッチには今後も出場するようだが、一つの時代が終焉したのを象徴する事態であることに変わりない。
そこに来て、サップよりバージョンアップした“モンスター”と言えるチェ・ホンマンの台頭、そして卓越した才能が感じられるカラエフの出現。
これでホーストと同じくK-1草創期のレジェンド・アーツが、モーにKO負けでも喰らったとしたら……、これはもう完全に世代交代の大会だったということになる。

アーツが意外な強さでモーに完勝。同じくグッドリッジに完勝したレ・バンナも含め、旧世代のトップファイターが最前線にふみとどまった格好だ。

しかし、試合中にまたもやスネをカットしたアーツは、ある意味で紙一重での勝利。中途半端なドクターストップでモーに勝利が転がり込んでくる可能性だってあったはず。
モーの調子云々を指摘する以前に、この「紙一重」の部分に世代交代を拒否した不思議な力を感じさせる。


○レミー・ボンヤスキー(3-0 判定)アレクセイ・イグナショフ×
○武蔵(3-0 判定)フランソワ“ザ・バッファロー”ボタ×

前年王者レミーはシード扱いで決勝に進めるため、これはスーパーファイト。
じわじわと実力ある次世代が台頭している状況下、ことしモーに判定負けするなどやや調子を落としている感のあるレミーにとって、この一戦は意外に正念場。

武蔵の相手ボタは、前大会でモーに秒殺負けしているがなめられる相手ではない。
とはいえ、レミー、武蔵ともにここは堅実に勝って、決勝にコマを進めてもらいたいところ。

レミー、武蔵ともに無難な戦い方で勝利。いまのK-1ではこういう戦い方のできるファイターが「強い」ということになる。

この点で言うと、負傷→ドクターストップの多いアーツや、調子に波のあるレ・バンナ、勝ち運のない実力者セフォーよりも、やはり前年のファイナリストであるこの2人がことしのGPの優勝候補(本命)だろう。


なお、日曜の抽選で決定した決勝トーナメントの組み合わせは下記の通り。

第1試合 レミー×ホンマン
第2試合 セフォー×シュルト
第3試合 レ・バンナ×アーツ
第4試合 武蔵×カラエフ


筆者の予想(期待)は、

レミー 武蔵 セフォー カラエフ クラウベ レ・バンナ モー ホンマン

だったから、ここからクラウベとモーが脱落したことになる。
第1試合以外の見どころとしては、やはり第2試合のセフォー×シュルトだろう。影の実力者と言われてきた“もうひとりの大巨人”シュルトも、前回のクラウベ戦でようやく「強さ」に脚光が当てられた格好。

彼を影の優勝候補に推す専門家は多いが、トーナメントは天を味方につけないかぎり勝ち抜けない面がある。
シュルトにそうした力が作用した場合、ホンマン旋風とはまた違った意味で、K-1に新しい風が吹き始めることになる。
つまり、よりグレードアップしたホースト=シュルトという図式……。

ちなみに、シュルトがセフォーに勝った場合、準決勝でホンマンと“大巨人対決”の可能性もあるが、これも上記をふまえれば、ただの“大巨人対決”でないことは明白。

レミーがホンマンに勝った場合、レミー×シュルトという組み合わせの可能性もあるが、これも“ポストホースト対決”として位置づけられる面白さがある。

当日の詳しい試合予想については、大会直前にまたしたいと思います。

投稿者 長沼敬憲 : 12:31 | コメント (0)

2005年09月23日

9.23「K-1ワールドGP開幕戦」オンエアを前に。

直前に迫ったK-1ワールドGP開幕戦。
「21時」からのテレビ観戦を前に、知られているようで知られていない、この大会の「見どころ」をいくつかピックアップしてみよう。

■チェ・ホンマン×ボブ・サップ

2メートルを超す長身でありながら、優れた運動神経と格闘センスを持つ、韓国相撲シムルの元横綱(天下壮士)チェ・ホンマン。
K-1デビュー以来無敗の彼が、1サイクル前に出現したもうひとりのモンスター、“野獣”ボブ・サップとメインで対決する。
巨漢同士の、テレビ映えするわかりやすい対決……のように何やらお気楽に捉えられている向きがあるが、この一戦は今後のK-1の歴史を左右する可能性がある、と筆者は思っている。

注目したいのは、もちろんホンマン。
まだK-1のトップファイターと当たっていないが、筆者の見るところ、サップの数倍のポテンシャルを持っている。K-1の戦いに慣れれば、ホンヤスキーや武蔵でもかなり苦戦する(負ける)可能性がある……。
と、この状況を、数年前にサップが出現したときの状況と比べてほしい。
出現したばかりのサップは、セオリーを無視したビーストファイトでフォータイムス王者ホーストを苦しめ、結果としてK-1ファイターのポテンシャルをアップさせる起爆剤(悪く言えばあだ花)としての役割を果たした。

ご存じのように、サップはその後「心の弱さ」を露呈して、トップファイター(ミルコ、ボンヤスキー、セフォーなど)に簡単に攻略されてしまったわけだが……、“1サイクル後のモンスター”であるホンマンはどうか? やはりサップと同じテツを踏んでしまうのだろうか?

繰り返すが、筆者はホンマンのポテンシャルをサップよりも数段上と位置づけている。
ということは、今大会のメインイベント(ホンマン×サップ)は、ちょっとした“世代交代”的な一戦という意味合いを持つ。
つまり、サップが負ければ、サップのいたポジションにホンマンが入る。そして、次のGP決勝で自動的にトップファイターとの対戦が実現する。もしかしたら、GP決勝でホンマン旋風が吹き荒れるかもしれない……。

前大会(ハワイ大会)での対曙戦で、両者のあまりの実力の違いを知ることになったが、果たして今回のサップ戦は? サップがあっさりKOされてしまうようだと、筆者の指摘もかなり現実味を帯びてくるはずだが……。


■ルスラン・カラエフ×リカルド・ノーストランド
■ピーター・アーツ×マイティ・モー

大会直前に“引退”を表明したホースとに代わって急きょエントリーされたのがノースランド。しかし、彼よりもアメリカ予選(ラスベガス大会)で鮮烈な印象を残したカラエフに期待が集まる。

ホーストはGP戦線から撤退するだけで、ワンマッチには今後も出場するようだが、一つの時代の終焉を象徴する事態であることに変わりない。
そこに来て、サップよりバージョンアップした“モンスター”と言えるチェ・ホンマンの台頭、そして卓越した才能が感じられるカラエフの出現。
これでホーストと同じくK-1草創期のレジェンド・アーツが、モーにKO負けでも喰らったとしたら……、これはもう完全に世代交代の大会だったということになる。

■レミー・ボンヤスキー×アレクセイ・イグナショフ
■武蔵×フランソワ“ザ・バッファロー”ボタ

前年王者レミーはシード扱いで決勝に進めるため、これはスーパーファイト。
しかし、じわじわと実力ある次世代が台頭している状況下、ことしモーに判定負けするなどやや調子を落としている感のあるレミーにとって、この一戦は意外に正念場。

武蔵にしても、相手ボタは前大会でモーに秒殺負けしているが、なめられる相手ではない。
レミー、武蔵ともにここは堅実に勝って、決勝にコマを進めてもらいたいところ。そのほうがこの先のK-1は面白くなる。


筆者の予想では、決勝に上がるのは、

レミー 武蔵 セフォー カラエフ クラウベ レ・バンナ モー ホンマン

あたりだろうか。
まあ、これは予想というより、こうなればいいという筆者の「期待」なのだが、このあたりのメンバーがそろうようだと決勝は相当に見どころが多くなる。
(セフォーの代わりにガオグライが入ってもいい)

すなわち、ある程度安定した戦いのできるレミー、武蔵。
そして、往年の実力者のセフォー、バンナ。
このあたりの常連トップファイターに、ホンマンやカラエフ、モーがからんでくると、K-1ヘビーはMAX並みの盛り上がりを見せる可能性もある。

特にホンマンの登場は大きい。こうした異分子が出現することで、K-1ファイター全体のスキルは、またレベルアップする。K-1の世界進出はますます展開されていくだろう。

さて、結果は……。
特にホンマン、筆者の買いかぶりに終わらないことを望む。笑。

投稿者 長沼敬憲 : 20:53 | コメント (0)

2005年09月10日

9.7「HERO'Sミドル級GP」を見た。

前大会に引き続き、はるばる有明コロシアムに総合格闘技「HERO'S 2005ミドル級世界最強王者決定トーナメント」を見にいってきた。
ことし旗揚げしたばかりとは思えない、かなり洗練された雰囲気の大会。
後発ながら同じ階級のライバル・イベント「PRIDE武士道」をスッと追い抜き、なにやらあっという間に人気ソフトになってしまった感じ。
看板選手である山本KIDや須藤元気が、すでに立ち技のK-1MAXでブレイクしていたという下地がやはり大きい。
以下に、試合を観戦して気づいた点などをざっくりつづってみたい。

準々決勝
○須藤元気(2R 4分45秒 腕ひしぎ十字固め )宮田和幸●

試合は5分2ラウンド(+1ラウンド延長あり)。PRIDEでの試合形式(1R10分・2〜3R5分)を見慣れていたせいか、1R終わった時点での感想は「早っ」。笑。
時間が短い分、1ミスが敗戦につながってしまう。選手は大変だろうなと思ったが……。
須藤が勝利したのは、にもかかわらず、落ち着いて試合をしていた点だろう。1R押され気味だったのに、自分のペースを崩さなかった。

そう言えば、いま柔道の世界選手権が、連日テレビで中継されているが、こちらは試合時間がたった5分。でも、残り時間1分、2分というところでも結構逆転がある。

時間というのはある意味相対的なもので、長さは個人の感じ方によって左右される。落ち着いている人は、「5分は短い」というような一般の固定観念にとらわれない感覚を持っていると言えるかもしれない。

須藤がクール(頭がいい)と言われるのは、たくさん本を読んでいて、理論家であるからではない。トリックスターと呼ばれるのも、変わり者だからではない。それは彼の頭が柔らかく、固定観念に囚われない感性があるから。
感性なんていう言葉は、ある意味使い古された表現だが、「時間に支配されない=落ち着いている」というキーワードからひもとくと、ひとつ実態が見えてくるかもしれない。


●レミギウス・モリカビュチス(2R 4分16秒 TKO *レフェリーストップ) 高谷 裕之○

戦前の予想では、レミギウス有利の声が多かったのではないか? 二人とも打撃系。「レミギウスのパンチ力のほうが上=だから有利」という図式が見る側にあったかもしれないが、勝負を分けたのは、「腰の強さ」の差だった。

高谷は打撃のことや、過去にストリートファイトで慣した武勇伝みたいなものがクローズアップされているが、ぼくが驚いたのはそこにつきる。

打撃中心の選手は、往々にして組み技系よりも線が細い面がある。だから、打撃をスカされ倒されると、ひっくり返せない。レミギウスもそんな感じだった。
でも、彼がそうだったことより、高谷がそうでなかった(=思いのほか腰が強かった)ことに「頼もしさ」を覚えた。
日本人vs外国人の構図だと逆のパターンが多かった気がするが、ことこのクラスに関しては、やはり日本も相応に層が厚いように思われる。


●ホイラー・グレイシー(2R 0分38秒 KO *右フック) 山本“KID”徳郁○

やや全盛期を過ぎた感のあるホイラーだが、それでもあれだけ鮮烈なKO勝ちのできるKIDは、やはり並ではないという印象。


○宇野薫(2R判定 3-0)所英男●

この日のベストバウトと呼ばれた試合だが、ここでも勝敗を分けたのは「腰の強さ」の差だったように思う。
所は非常にセンスのある選手だが、やや安易に下になりすぎる。試合時間が短い以上、もう少し腰を強くして崩れないようにしないと、接戦の場合、今回のような結果になる。そこが課題になってくるのではないだろうか。

この点ではやはり次の高谷の試合のほうが、ぼくには興味深く思えた。


準決勝
○須藤元気(2R 3分47秒 三角締め)高谷裕之●

結果的に須藤の流れるような関節技が決まったが、テークダウンされても安易に下にならない高谷の「腰の強さ」がここでも目立った。
タイミングを合わされタックルで倒されても、わずかな間にスッと上体を起こして、不利な態勢をつくらない。こういう光景を見ると「胸がすく」。格闘技を見ていて面白いと思える瞬間だ。
ぼく的にはこの試合がベストバウト。


○山本“KID”徳郁 (2R 4分04秒 TKO *レフェリーストップ) 宇野薫●

不利な立ち技でKIDに対抗した宇野。ホイラー戦の時とよく似た比較的動きの少ない展開だったが、キッドの打撃で宇野が額?をカット。
あくまで自分の得意な土俵に持ち込もうとする須藤やKIDが勝ち、それをしなかった宇野が負けたという構図。
実力差というより、勝負に対するスタンスが明暗を分けたような気がする。

大会終了後、スーパーバイザーの前田日明が、須藤の「相手の攻撃をスカす」戦術に苦言を呈していたが、その前田が宇野を高評価していたのは、彼のこうした“戦う姿勢”にあったのだと思う。
とはいえ、「負けたら始まらない」という意識の強かった須藤やKIDが勝ち上がり、「いい試合をしたい」という意識をどこかに持っていた宇野や所が敗れたのは、格闘技的には、ある意味順当な結果と言えるかもしれない。

もちろん、試合は互いの技術や精神力の「試し合い」という考えを持っている前田からすれば、こうした「割り切ったほうが勝ち」というような状況から一歩踏み出したものを、この先の展開に望んでいるように思われる。

その意図にピンと来る選手がどれだけいるかが問題だが、仮に前田の感覚がうまく伝わっていけば、格闘技も質的な意味でより「武道」に近いものに変わっていくだろう。
これは「HERO'S」が先発の「PRIDE」にはないカラーを打ち出していく上でも、じつはかなり重要なテーマになってくるかもしれない。
そして同時に、おそらく前田が、「ビッグマウス・ラウド」でやろうとしている“新しいプロレス”のイメージも、ここにリンクしていることのように感じられる。

以上が、感想でした。

投稿者 長沼敬憲 : 12:12 | コメント (0)