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2005年11月21日
11.19「K-1GP決勝」を見た
“影の優勝候補”セーム・シュルトがパーフェクトと言っていい勝ちっぷりで栄冠を手にした、ことしのK-1GP。
筆者もテレビで観戦。先日の直前予想をもとに、大会を振り返ってみたい。
(青字が前回の予想部分)
カギになるのは、第1試合のレミー×ホンマン。
なにしろ、戦前にさんざん挑発され、「名誉」が傷つけられているホンマンは、勝敗以上にレミーを潰しにかかる意図が見える。
しかも、レミーが勝ったとしても、次は影の優勝候補と目されるセーム・シュルトとの対戦の可能性がある。
2戦連続の大男……。勝ってもその先にさらに決勝が待っている。
レミーにとってはかなり厳しい組み合わせ。
どんなハプニングがあろうが(前述のホーストのような)この組み合わせでV3が飾れたなら、彼の強さは“本物”と認められるだろう。
残念ながら、最初のハードルをクリアしたレミーだが、次のシュルトに完敗。
最終的にシュルトが優勝を飾ったことで、レミーや武蔵の戦法に象徴される、ここ数年のK-1のファイトスタイルは大きく変化しそうな予感がする。
レミーと武蔵に共通していたのは、ポイントを稼ぎ、負けない試合に徹する戦法をとっていた点。
KO決着を望むファンからすると物足りなさがあっただろうが、K-1ファイターは草創期から比べればはるかにレベルアップし、技術が拮抗している。
そうした実力者どうしのなかでコンスタントに勝ち抜くには、リスクを避け、ディフェンス力を強化するのは常道にも思える。
フライングニーを中心に派手な飛び技を武器にしてきたレミーも、王者になってからは両腕でがっちりガードを固め、コツコツとローを叩き込むような戦法に変化した。
シュルトに破れたレミーが、奇しくも「プレッシャーから解放された」と語っていたように、負けない戦い方をずっと強いられてきたのだと思う。
これを「そんなファイトスタイルはやめて、正々堂々と打ち合いをすべきだ」と批判しても意味がないことは言うまでもないだろう。
そう。レミーや武蔵の現在進行形のK-1ファイトスタイルを凌駕する(つまり、さらにレベルアップした)戦い方ができるファイターが現れないことには、この膠着状態からは抜け出せない。
シュルトは、結果としてそれをやってのけたことになる。
一方のホンマンだが、前回のサップ戦で意外なスタミナのなさと、ローキックへの無防備さが露呈してしまったが、正直、短期間での修正は難しい気がする。
ホンマンもそのことは、どこかで感じているのではないか? 今回は勝利よりも、明らかにレミー潰しを狙っている。
で、そのうえで勝ち上がったとしたら……シュルトとの“大男対決”??
そうなると、技術の正確さからシュルトが有利な気がするが……。
ちなみにホンマンの場合、本人にとってはイヤな話だろうが、見る側の興味としては、いつダウンするのか? いつKOされるのか? というものがあると思う。
最初のレミー戦か、次の準々決勝か……。
もしかしたら、その前後の時間帯が瞬間最高視聴率になるかも。
敗れたとはいえ、ホンマンは思った以上に試合ができたというのが、筆者の印象。
その分、デビュー当時のサップのような“予測を超えた無茶苦茶さ”がなかったため、レミーにポイントを奪われ、攻略されてしまった格好だろう。
とはいえ、あの体格であの動きはやはり逸材。
次戦は、今回実現できなかったシュルトとのスーパーファイトが実現したら面白い。
ホンマンはこの一戦で、「瞬間最高視聴率」レベルの?豪快なKO負けをするかもしれない。しかし、シュルトと豪快な打ち合いをすれば、「もしか?」の展開もありえる。
少なくとも大味な大男対決にはならない気がする。
というわけで、筆者はこのブロックの本命はレミー、対抗はシュルトと考える。
シュルトに関しては、1回戦のセフォー戦がちょっとしたチェックポイント。この試合にあっさり勝ってしまうと(セフォーを完封してしまうと)、優勝候補の本命に昇格かなという気がするが……。
書いた通りになりましたな。笑。
では、もう一方のブロックはどうか?
正直、このブロックは武蔵に有利な組み合わせに筆者には映る。対戦相手のカラエフは強いが、武蔵は相手の攻撃をいなすタイプ。
いい試合になってほしいとは思うが、結果は順当に武蔵の判定勝ち。
で、その前のレ・バンナとアーツの“旧世代大物対決”だが、もしかしたらこの試合の勝敗が一番読みにくいかもしれない。
とはいえ、アーツはやはりすねの傷が気になるが、何となく最近は勝ち運がある。レ・バンナは最近とみにスキルアップ、パワーアップしている感があるが、逆に勝ち運が薄いような……。
このへんも、ほとんどパーフェクトな予想。笑。
その意味で有利なのはアーツ。
ただ、どちらが勝ち上がっても、準決勝では案外武蔵が順当に勝利をおさめる気がする。
いまのK-1はハードパンチャーより、いなせる技術を持ったファイターに軍配が上がりやすい。
これまで不用意に打撃をもらって相手に主導権を奪われていた武蔵だが、最近ではそのへんが修正されているので……。
アーツはここ最近いい戦い方をしていたので勝ち上がるとは思っていた。
しかし、パワーファイターのレ・バンナ相手に接戦になるだろうから、スタミナ面で武蔵に有利になると思っていた。
それが肋骨を折ってアーツが棄権。リザーブファイトを制したクラウベ・ファイトーザが準々決勝に進出。
カラエフ戦で予想以上に体力を消耗していた点もあるだろうが、おそらくこの対戦相手の変更が、武蔵の勝ち運を奪ってしまった。
トーナメント全体を見渡せば、もう一方のブロックでレミーがシュルトにKO負け。
そして武蔵も、シュルトと同じ空手系の、しかも激しい(変則的な)飛び技をもったクラウベに、「不用意に打撃をもらって」敗退。
というわけで、筆者の決勝の対戦予想は、3年連続のレミー×武蔵戦!
もちろんそうはならない可能性も無数にあるが、ことしのトーナメントの軸はやはりこの二人にあるというのが、筆者の見方。
つまり、本命1のレミーを崩すトリックスターがホンマン。
本命2の武蔵を崩す、やはりトリックスターがカラエフ。
で、勝ち抜いた場合、大きな試練として立ちはだかるのが、レミーの場合、シュルト(あるいはセフォー)、武蔵の場合、アーツ(かレ・バンナ)。
この試練を乗り越えて、あとは精神力で戦うのが3年連続の決勝戦。
筆者の戦前の構図は途中できれいなくらいに崩れ、しかも、両者のファイトスタイルとは対極的なシュルトとクラウベの決勝戦。
今後のK-1を考えると、これはある種の天意が働いたようにも思えてしまう。
シュルトは、総合(PRIDE)でヒョードルやノゲイラ、ハリトーノフに完敗しているので、正直な話、筆者のなかではかなり商品価値が落ちていて(失礼!)、あまりプッシュする気になれなかった。
しかし、今回のGPであれだけ圧倒的な勝利を得た以上、これから立ち技の世界では明らかに台風の目になっていくだろう。
谷川プロデューサーはクラウベとの決勝戦を「地味」とも評していたが、テレビメディアとしても、ようやく取り上げやすい存在になったと言える。
ちょっとKO決着はなさそうな……。
シュルトが決勝に上がるとしても、KO決着は決勝くらいと思っていた。
その点、いい意味で予想を裏切られたわけで、そう感じた人が多かったならイベントとして「大成功」だったのではないだろうか?
ともあれ、K-1に“絶対王者”が生まれることで、イベントとしてのカラーは見えやすくなった。
来年以降(大晦日も含め)、どんな仕掛けをしていくのかなかなか楽しみではある。
投稿者 長沼敬憲 : 2005年11月21日 09:46