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2005年08月14日

■9.11・衆議院総選挙を早くも予想する。

郵政民営化法案の否決に伴う、衆議院総選挙が近くなってきました。ぼくにはいろいろ面白いものが見えているけど……、まあ今回は、普通に考えたら小泉さんの勝ちだと思う。

郵政民営化が本当に必要な改革なのか、国民の多くはよくわかっていない。
その点の不備を民主党や、自民の反対勢力は突いているわけだけど、それって正論以上のものではないわけで、では彼らが代わりに政権を取って「本当の改革」がやれるかというと……、やれるかもしれないが、何の保証もない。

そうなると、8割り方話の進んでいる小泉自民党のほうが、「何かが変わるだろう」という期待感を抱かせる。
繰り返すが、それが正しいのか正しくないのか、そういう話ではない。そんなジャッジはじつは国民にはできない。
大事なのは、理屈ではなく、感覚なのである。
偉そうに言えば、政治家はなによりそれを理解しないと駄目だと思う。

たとえば、こんなふうな意味でだ。
ぼくは編集者の仕事をしているから、「いい雑誌」を作ることはできる。そのセンスでもって人や世の中を見渡して、何が「いい」か自分なりの評価も出せる。しかし、その評価は理論的というより、感覚的なものだ。もっとわかりやすく言えば、専門的なものではない。それをしたいなら、もっと本腰を入れて、とりあえず政治評論家か政治ジャーナリストあたりになるしかないだろう。

つまり、郵政民営化が正しいかどうかの判断を、「部外者」のぼくがしはじめたらおかしなことになるということ。
人は人を、そんな細部ではなく、もっと大まかな「雰囲気」で判断する。それを曖昧だ、いい加減だと言ってしまったら、世の中は見えなくなる。もちろん、人も理解できない。
なぜならその雰囲気のことを、人は「器」と呼んでいるからだ。

民主党の岡田さんは、話を聞いていると、正しい政策をわかりやすく説けば、国民は理解してくれると思っている節が感じられる。
でも、国民が求めているのは、「正しい政策」ではない。人としての安心感、信頼感を抱かせるだけの「器の大きさ」である。なまじ頭のいい人は、そんな器なんていう目の見えないものは信じない。まやかしだと思ってしまう。

現に岡田さんは小泉さんの人気をまやかしだと思っているだろう。
しかし、小泉さんが曲がりなりに4年間も首相でいられたのは、現状の日本で彼を上回る「器」を持った人間が現れなかったからだ。
それを政策で勝とうとしても駄目だ。
正論をいくら訴えようが、それだけでは負ける。

歴史を俯瞰すれば、小泉さんを凌駕するくらいの「器」を持った人物は、いくらでもいただろう。
しかしいまは、「器なんていう曖昧なものは信頼できない。大事なのはデータだ。科学的な分析だ」と、まだまだそんな価値観がまかり通っている。
器を持った人間が表舞台に現れにくい時代が続いている。

というわけで今回の選挙、それなりに接戦になっても、ちょっと民主党が勝つとは、ぼくには思えない。
あるいは仮に小泉さんが負けても、彼は自分の主張を貫いての敗北なので、器はあまり傷つかない。政治的に浮かぶ瀬はいくらでもある。
この点では頭のいい人だな、と思う。
同じYKKの一人、数年前に「反乱」に失敗した加藤紘一氏とはそこが違う。

数年前の加藤が失脚して、今回の小泉が生き残って……、その意味では、日本も少しずつ「前進」していると言えるかもしれない。
「器」を持った人間、つまりは本来の政治家らしい政治家の現れやすい土壌は、少しずつ整いつつあるということ。
今回、選挙に勝利して、郵政民営化が実現したとしても、小泉さんは政権に一区切りつけるだろうから、問題はポスト小泉。どちらかというと、焦点はそこになるような気がしてくる。

我こそはと思っている政治家がいたら、やはり「国民が最も期待しているものは何か?」感じ取るセンスこそ大事にしてほしい。
繰り返すが、政策ではない……。政策は官僚やブレーンが考えるものだ。優秀な人間を選ぶという目も、「器」の領域に属している。
ここを勘違いしていたら、ポストがめぐってきてもおそらく長期政権は築けない。
その意味では、仮に民主党が勝利しても、多分現状ではうまくいかない(理屈どおりにいかない)だろう。
まあ、うまくいかないという現実を我々の前に示すことで新たな変化が促せる側面もあるので、それはそれで意味があるわけだけど。

というわけで、今回の選挙。
それなりに状況を観察して、ぼくなりに物を見る目を養う糧にさせてもらいます。笑。


投稿者 長沼敬憲 : 2005年08月14日 19:56

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